セルフビルドのスタジオが出来るまで
いりやまずのおうち&スタジオのできるまで

完全防音の音楽スタジオを作る事にした
「完全防音の音楽スタジオを作る」と一言で言うのは簡単ですが、その実現には果てしない道のりがありました。建築を始めたのが2023年8月31日、出来上がったのが2024年10月20日ですから、1年と2ヶ月かかったことになります。

最初は音楽スタジオ制作がどんなに大変で、どんなに手間がかかり、そして時間がかかるのか、全く理解していなかったのですね。知らなければできること、という事はたくさんあるものですね。その大変さを知っていたら、音楽スタジオなんて絶対に作ろうとは思わなかったと思います。

防音とは地道な作業の積み重ねです。一度基本構造を決めたら、基本的にはただ毎日、黙々とボードを貼っていくだけです。でも、一枚一枚、手を抜くことはできません。

これから防音室を手作りする人には「面白いし、完成してからの満足感は半端ないけど、想像を超える大変さだからやめたほうがいいよ!」と伝えたいです。

自分の手で防音室を自作するなんて人は、そんなにはいないだろうと思いますので、ここに制作記録を残しておきます。基本的な設計方針、防音とは、エアコンについて、電気についてなど、これを読めば一通り、防音室の自作についての知識が得られると思います。Webの片隅に残って必要な人のところに情報が届きますように…
音楽スタジオになる物件について
音楽スタジオになった物件は、現在は「いりやまずのおうち」という名前で営業している民泊です。神奈川県の横須賀市不入斗町(いりやまずちょう)に位置する物件で、小高い丘の上にあり、そもそもの立地として音を出してもあまり隣家に漏れないというスタジオとしては大変恵まれたロケーションにあります。

改築前は若い音楽家のカップルが1年ほど住んでいて、楽器の練習をしまくったはずですが、苦情はほとんど来なかったのだとか。家の中でドラムを叩きまくっても大丈夫だったと言うのには流石に驚きましたが。

「いりやまずのおうち」にはもともと2つの物件がありました。1つは昭和7年建築の古民家で、もう一つは息子家族が住んでいたと思われる離れです。いわゆる2世帯住宅ですね。

母屋の方は元々こんな感じでした。



こんな感じにリフォームされました。母屋の概要はいりやまずのおうちのHPをご覧くださいませ。



こちらが元々の離れです。キッチンなどは母屋にあるので、とりあえず居ることができれば良いという作りです。そんなに大きな物件ではありませんが、一応、トイレと洗面もある一軒家でした。エアコンも付いていました。



中はこんな感じでした。建築用の荷物が入っていて、あまり綺麗ではないのですが。大きさは7-8畳ほどでしょうか。10代後半から20代の住処にはちょうどいい感じかと思います。趣味の部屋として使い心地が良さそうです。



図面はこちらです。昭和なので手書きの図面です。分家、と書いてありますね。9坪の物件です。



外壁はトタンで、壁一枚、スカスカ。防音どころか冬の寒さ、夏の暑さもそのままやってくる昭和の安い作りの家でした。こちらの写真は半分ほど壊したところですが、中に断熱材すら入ってないことがわかりますでしょうか。



この古民家が、1年2ヶ月の工事期間を経て、真夜中でも爆音を出せ、完璧な音響特性と、位相が揃っている電源を備えた、スタジオに変身します。写真は一緒に建築をやってくれた、たくじいと嶋さん。嶋さんはこのスタジオの工事を最後に天に帰られました。ありがとうございました。

完全防音 音楽スタジオ DIY 制作記 その2 – 防音の基本構造を決定するへ >>>

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